ダンゴムシ情報

身近な虫の観察記録

失敗シリーズ⑦後編:ダンゴムシのカルシウムの吸収率UP!過剰摂取による疾患を予防するには?

この「失敗シリーズ」ではダンゴムシ飼育をする中で失敗だと思ったことや物、そして失敗から得た改善策について書いております。

あくまで個人的な意見であり、特定の商品や特定の方を貶める意図はございません。

これからダンゴムシを飼育する方、あるいは飼育し始めて間もない方が飼育方法について検索した時、数ある情報の一つとしてご参考になれば幸いです。

 

 

ダンゴムシを健康に飼うためにはたくさんカルシウムを摂取させることが大事ですが、カルシウムはとても吸収されにくい栄養素です。

吸収率が良くないために過剰にカルシウムを摂取してしまうと、他の栄養素の妨げになったり体内に蓄積して疾患を引き起こすことも考えられます。

 

ダンゴムシにはなるべく長生きして欲しいから、死因は一つでも減らしたい。

そのため今回はカルシウムの吸収を阻害する食品や結石の原因となる食品、またはカルシウムの吸収を促進し結石を予防する食品についてご紹介します。

 

オススメのカルシウム源についての記事はこちら↓

dangomushijouhou.hatenablog.com

 

以下の内容はほとんど人間の栄養学について調べて分かったことをダンゴムシ用にまとめたものです。

虫と人間の体の構造は大分違いますが、成分が体にどんな作用を起こすかは大体一緒なのではないかと想像しています。

虫の栄養学についての情報は調べてもほとんど見つからなかったため、話半分で読んでいただければと思います。

 

避けたい栄養素

カルシウムの吸収を阻害する栄養素

①リン

脊椎動物の場合、リンとカルシウムは血液中でバランスを取って存在していますが血中のリンが多いと骨に蓄えられている貯蔵カルシウムを血中に放出してバランスを取ってしまうそうです。過剰摂取は結石の原因となります。

(ダンゴムシは血液では無く血リンパという体液を持っています。)

 

リンを多く含む食品↓

魚介類全般、かぼちゃ、麻、小麦胚芽、乳製品全般

 

魚介類や昆虫はリンを多く含みますが・・・「失敗シリーズ⑦前編」ではダンゴムシにグルコサミンを摂取させるため、乾燥エビを与えることをオススメしています。

また、ダンゴムシの大好物でもあります。


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上記の通りリンは適度であれば体に必要な栄養素でありカルシウムとのバランスが崩れることによって悪い働きをするので、魚介類や昆虫を与えないよりようにするよりかは、それ以外のかぼちゃや麻、小麦胚芽などカルシウムを含まずリンを多く含む食品を控えることをおすすめします。

もしそれらの食品を与えるならバランスを取るためにカルシウムのサプリをまぶすなどすると良いでしょう。

また、乳製品は消化酵素を持っていないと消化できないため哺乳類以外には与えない方が良いでしょう。

 

②シュウ酸

カルシウムなどのミネラルと結合して便として排出します。

過剰摂取は結石の原因となります。

シュウ酸は雑草のカタバミにも多く含まれます。

昆虫もシュウ酸含有量の多い植物を食べると中毒症状を起こしたりカルシウムの利用ができなくなるそうで、シュウ酸は食害を防ぐために植物が身につけた武器のようです。

 

シュウ酸を多く含む食品↓

ほうれん草、キャベツ、レタス、ブロッコリー、カリフラワー、筍、未熟なバナナ

 

特にほうれん草は段違いでシュウ酸を多く含んでいるため注意が必要です。

シュウ酸は水に溶けやすいため、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーを与えるならしっかり茹でたものを与えると良いかと思います。

キャベツやレタスを食い荒らすのが好きな野生下のダンゴムシ。
結石には気をつけてほしい。

 

*1

 

結石の原因となる栄養素

①プリン体

プリン体が体内で分解される過程で尿酸が生成され、これが結石の原因となります。

 

プリン体を多く含む食品↓

レバー、椎茸、魚介類全般(特にアンコウ、真鰯、白子)、DNA/RNA、ビール酵母、クロレラ、スピルリナ、ローヤルゼリー

 

これらの食品は健康に良さそうなイメージがあり与えてみたくなりますが、ダンゴムシは他の虫よりも結石が出来やすい生物だと考えなるべく控えた方が良さそうですね。

ダンゴムシに魚介類や昆虫を与えないことは難しいですが、他は簡単に控えられるものばかりなので覚えておきましょう。

健康に良いと思いダンゴムシにも与えていたビール酵母。
人も虫も尿酸値には気をつけてほしい。

 

摂取させたい栄養素

カルシウムの吸収を促進する栄養素

①ビタミンD

腸管からのカルシウムの吸収を促進し、血液に入ったカルシウムを骨まで運ぶ働きがあります。

ビタミンDを多く含み且つダンゴムシにも与えやすいオススメの餌は舞茸です。

きくらげはとても多くビタミンDを含みますが、餌として与える時に戻す手間がかかるのと体内で水を含んで膨らむと危険です。

鯛やしらすなどの魚類も多くビタミンDを含んでいますが、毎日与えることは難しいです。

そのため、乾燥舞茸をオススメします。

 

また、ビタミンDは太陽光を浴びることによっても体内で生成できますが、逃げ場の無い飼育ケース内に居るダンゴムシに直射日光を当てることは危険なので餌から摂取させましょう。

 

②マグネシウム

人間の体内ではカルシウムとマグネシウム2:1の割合で存在し一定の濃度を保っています。体内のマグネシウムが少なければカルシウムも吸収されません。

 

マグネシウムを多く含むオススメの餌はあおさ、もしくは青のりです。 

うちのダンゴムシたちはどちらも大好きでパリパリと食べています。

自分の体に必要な栄養素は分かっているのか、それとも単にパリパリ食感が好きなのかは分かりません。

 

③リジン

必須アミノ酸の一つであるリジンにはタンパク質やカルシウムの吸収を促進する働きがあります。

リジンは桜エビに多く含まれているため、カルシウム源としてオススメしている乾燥エビにも恐らく多く含まれているのでは無いかと思います。

他には卵白もオススメです。火を通しましょう。

 

*2

 

結石を予防する栄養素

①ビタミンC

尿酸排出を促し結石を予防します。

ビタミンCを多く含むオススメの餌は焼き海苔、パプリカ、ピーマンです。

アセロラとケール青汁はビタミンCの含有量は桁違いに多いですが、ダンゴムシが食べてくれない可能性が高いです。

焼き海苔(味付けなし)はうちのダンゴムシたちもパリパリ好んで食べています。

ピーマンはパプリカよりはビタミンCの含有量は劣りますが、ピーマンの方が家庭料理で頻繁に使うため与えやすいのではないでしょうか。

 

乾燥エビのようなプリン体の多い魚介類を毎日与えるのであれば、ビタミンCを併せて毎日摂取させると安心ですね。

 

②クエン酸

クエン酸は結石を予防する働きがある上、尿のアルカリ化を促進して酸性尿になることを防ぐ効果があります。

柑橘類の素乾燥された物がオススメです。ダンゴムシに与えると、大好きでは無さそうなものの時々齧ってます。

 

*3

 

 

いかがでしたでしょうか。

今回は人間にとってもタメになる内容では無いでしょうか。

ご参考になれば幸いです♪

 

 

【参考記事】

Level Up!『【医師監修】カルシウムの吸収率を上げる&阻害する食べ物を一挙紹介』

https://vitabrid.co.jp/articles/levelup/cafood-2206/

(公社)日本アロマ環境協会『したたかな植物たち 前編』

https://www.aromakankyo.or.jp/environment/environment_column/interview/vol3.php

SALUS CLINIC『複雑だけど覚えておきたい尿路結石の食事療法』

https://salusclinic.jp/column/uncategorized/article-527/

薬の健康日本堂『リンが多い食べ物・食品ランキングTOP100』

https://k-nihondo.jp/gold/column/TOP100.html

医療法人財団 勲章会 原泌尿器科病院『尿路結石の再発を防ぐ食事について』

https://harahospital.jp/koramu/koramu01/20210511.html

痛風・尿酸財団『食品中プリン体含量(mg/100g)』

https://www.tufu.or.jp/pdf/purine_food.pdf

ELLE『ビタミンD摂取のために、積極的に食べたい13の食べ物』

https://www.elle.com/jp/gourmet/a477301/gpi-vitamind-18-0518/

味の素株式会社『リシン(リジン)|カンタン解説!アミノ酸|アミノ酸大百科』

https://www.ajinomoto.co.jp/amino/about/classified/lysine.html

健達ネット『マグネシウムとは?多く含む食品と働きについても解説』

https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/health-care/15896

薬の健康日本堂『ビタミンCが多い食べ物・食品ランキングTOP100』

https://k-nihondo.jp/gold/column/TOP100.html

*1:注:食物繊維もカルシウムの吸収を阻害しますが、全ての植物に含まれる食物繊維をダンゴムシに摂らせないようにするのは無理ですし適度な量であれば健康には良い面の方が大きいため除外しました。

フィチン酸もカルシウムの吸収を阻害しますが、適度な量であればむしろ結石を予防するといわれているので今回は除外しました。

また、カフェインやアルコールなど、はなからダンゴムシに与えないであろう成分は割愛しました。 

*2:カルシウムの吸収を促進させる栄養素は様々ありますが、乳糖とカゼイン分解物はリンを多く含み、乳製品は虫には良くない可能性があるため除外しました。

*3:パセリはビタミンCの含有量が多いですが、ダンゴムシはパセリのようなハーブ系の匂いを嫌います。

お茶の類もビタミンCの含有量が多いですが、カフェインが含まれるため与えないでください。

カリウムも尿酸を排出する働きがありますが、どんな野菜にも含まれていて意識して特定の食品を与える必要は無いため割愛しました。

他に葉酸・銅・モリブデンなども良いとされているそうですが今回は割愛します。