この「失敗シリーズ」ではダンゴムシの飼育をする中で製品の本来の用途と違う使い方を原因とする失敗や個人的に合わなかった方法について書いています。
特定の商品や人を貶める意図はございません。
ダンゴムシの飼育ケースって、しょっちゅうお掃除できる訳じゃないですし数ヶ月経つと臭くなりますよね。
蓋を開けるとむわっと来るあのにおい・・・。
通気性の悪いダンゴムシの飼育ケースですから、悪臭がダンゴムシのストレスになるんじゃないかと心配になります。
臭いが酷いなら土を入れ替えるのが一番なんでしょうが、しょっちゅう環境を変えていてはそれもダンゴムシのストレスになります。
そのため今回はできるだけ飼育環境が長持ちするようオススメのニオイ対策グッズをご紹介します。が、その前に、まずはこのシリーズのテーマに沿って私が今までしてきた消臭法で失敗だったなーっていう物について書いていきます。
どなたかのご参考になれば幸いです。
失敗消臭法1『ヒノキチップ』
カブトムシとクワガタの消臭法にはヒノキマットがよく使われるらしい。
ダンゴムシ飼育専用の消臭法なんてどこを検索しても書いてありませんから、ダンゴムシを飼育し始めた当時の私は飼育のことで困ったことがあったらカブトムシかクワガタで検索をかけて調べていました。(ダンゴムシ専用の情報が少なすぎる!それがこのシリーズを書いている動機でもあります。)
同じ虫だしイケるでしょ、ヒノキならどこにでもあるし自然の物なら安全でしょう、なーんて思っていましたが…
失敗の理由 ダンゴムシはヒノキの香りが嫌い。
実はヒノキの香りはカブトムシ・クワガタも好まず、弱った個体には使わない方が良い物らしいと後から知りました。
私が飼育ケースにヒノキチップを入れた時も、香りの強い最初の数日はダンゴムシがヒノキの近くに行ってないように見えました。
ダンゴムシも恐らくヒノキの香りが嫌いです・・・。
調べると、ヒノキの“良い香り”はテルペンやヒノキチオール等の成分からなっており、これらの成分は「フィトンチッド」と呼ばれヒノキが有害な昆虫や微生物などの外敵から身を守るために生成するものです。
それは虫が嫌うわけだ!
特にテルペンはダニに対して強い効果を発揮し、ヒノキの木屑の中ではダニが死滅してしまうとか。
それじゃ小さな赤ちゃんダンゴムシも死んじゃいそう・・・。
ヒノキ以外にフィトンチッドを含む代表的なものを箇条書きしておきます。
・ヒバ
・クスノキ
・スギ
・サクラ
・カシワ
木の良い香りには要注意ですね。
かつての私は「自然の物なら安全だろう」とつい思ってしまいがちでしたが、考えてみればトリカブトの猛毒だって自然の物ですからね…。
自然って全然優しくないよなぁとしみじみ思います。
また、成分が揮発して香りが消えたら効果も消えるため2週間ほどで取り替えることになりコスパが良い方法とは言えません。
ちなみに緑茶やコーヒーの出涸らしも臭いを消すとして有名ですがこちらも同じでダンゴムシの刺激になる臭いがありますし、含まれるカフェインが虫にとって有害なため飼育ケースに入れない方が良いです。
ダンゴムシのニオイ対策は香りを出さずに消臭することがポイント…
そこで、私が次に思いついたのは炭でした。
失敗消臭法2『竹炭』
活性炭?備長炭?木炭?竹炭?
よく分からない…どれも大体同じだよね?
竹炭の形が隠れ家にピッタリだし竹炭にしよ〜。
とそんな感じで購入した竹炭。
失敗シリーズ③で竹炭を「避難所&隠れ家」として超最適だとし、レイアウトに取り入れることをオススメしたことに嘘はありません。が・・・
dangomushijouhou.hatenablog.com
失敗の理由 脱臭効果が低い。
竹炭は脱臭効果はあまり高くなく、その効果も長くて半年しか保ちません。
炭の中では活性炭はそこそこアンモニアの脱臭力を持っていますが、吸湿力が非常に高いためケース内の湿度を適湿よりも下げてしまう可能性がありますのであまりオススメしません。
木炭は活性炭と同じくらいのアンモニア脱臭効果があり、且つ重量に対しての吸湿力は低いため良いかもしれません。(バーベキュー用で着火剤が塗られている物を選ばないようご注意ください。)
ところで何故炭によって吸湿に優れていたり脱臭に優れていたりの特徴が出るのかですが、炭のような多孔質の素材はその微細な孔に分子を吸着させることで脱臭しているからです。
臭いの成分や水分はそれぞれ分子の大きさが違うため、何を吸着させることが得意なのか、どれだけの量を吸着できるのかはその素材の孔の大きさと数によって決まります。そのため、多孔質素材には得手不得手があるのです。
多孔質の素材の中で吸湿に優れているのは活性炭ですが、アンモニアの吸着に優れた素材は「稚内珪藻頁岩」です。
こちらの商品は爬虫類用・ベタ用・金魚用がありますが、恐らく中身は同じ・・・?
私はAmazonではベタ用が一番安かったです。(2024年4月)
砂利タイプも。Amazonではこちらの方がより安価で購入できますね。
稚内珪藻頁岩はダンゴムシにとって乾燥しすぎない湿度60%前後に保ってくれる調湿効果も持っておりこの効果は半永久的な物です。
そのため、砂利タイプよりも取り出して何度も使いやすい石タイプを推しますがこの辺は好みの問題かもしれません。
ただし、脱臭効果は半年ほどで終わってしまうらしい。
どんな物も脱臭効果は半永久的では無いため、これらの物だけに脱臭を頼ると毎回使い捨てで取り替えなければいけません。
それに、稚内珪藻頁岩をはじめとする多孔質素材は臭いの成分によっては吸着が苦手な場合もあります。
また、空気中に漂う臭い分子を吸着することはできても、それらの分子を発する原因を解決することはできません。
多孔質素材は補助としてはオススメしますがこれ単体に頼らない方が良いですね。
ずっと一定の効果を出せ、且つ原因から解決するようなもう一つの消臭法を見つけた方が良さそうです・・・。
そもそも臭いの原因って何?
主にダンゴムシ飼育ケース内の悪臭の原因物質となるのは以下の4つです。
・アンモニア(尿や肉の腐敗臭)
・硫化水素(卵などの腐敗臭)
・メチルメルカプタン(野菜などの腐敗臭)
・トリメチルアミン(魚などの腐敗臭)
そう、悪臭の原因はほとんど餌。
餌が微生物によって分解されたことによって発生するこれらの揮発性の分子が「腐敗臭」の正体です。
これを防ぐためにはなるべく食べ残し餌を回収するのが基本ではありますが、ダンゴムシは餌を咥えて自分の安心できる場所に持って行く習性があるため、全ての回収は不可能ですよね。
そして、当時の私は閃いたのでした。
失敗消臭法3『トビムシ』
トビムシを飼育ケースの中で繁殖させれば、主に菌食と言われているトビムシが菌の付いた食べ残しの餌や糞やらを食べてくれるのではないだろうか・・・。
メダカ水槽のタニシのような要領でダンゴムシの飼育ケースを綺麗に保ってくれるのではないか・・・?
ダンゴムシの食べ残し問題を根本解決する最終兵器は、トビムシ?
そんな思いつきをどうしても試してみたくなった私はアカイボトビムシを導入。(一緒にアヤトビムシも入ってました。)
何故アカイボトビムシなのかというと、この虫はトビムシの特徴であるはずの跳躍器が退化していて飛び跳ねたりしないし、壁を登ることもできず、脱走の可能性がとても低いからです。
何よりモチモチしてて超可愛い。
が・・・
失敗の理由①食べ残しが無くならない。
こんな小さな小さな生き物が何百匹いたとて…食べ残しを綺麗に食べてくれる訳も無く。
それに加えてアヤトビムシに至っては食べ残しよりも思いっきり新しい餌の方に群がっているのでした。
失敗の理由②逆に食べ残しを捨てづらい。
捨てたい餌にも小さいトビムシが群がっていると捨てづらく、逆に不衛生になってしまいました。
よく動いて繁殖力の半端無いアヤトビムシに対しては無情に食べ残しごとポイッとしてしまえるのですが、よちよち動いて繁殖力の強くないアカイボトビムシに対してはかなり可愛さを感じてしまいポイッとできず、完全に逆効果でした。
失敗の理由③ビジュアルがアレなことに。
アカイボトビムシの繁殖力はまだ穏やかな方ですが、アヤトビムシはとにかく殖える殖える。
飼育ケースに2.3匹混入した程度でも、1ヶ月もするとこう。
一番根本的な対策としてトビムシが食べ残しを取り除く…それは失敗に終わりました。
となれば次に根本的な解決に近いのは餌を腐敗させる微生物をどうにかすること。
他に一体どんな方法が・・・?調べてみました。
そもそも消臭方法っていくつあるの?
そもそも消臭の方法は以下の4種類に分けられます。
1 化学反応法
消臭成分で悪臭成分を中和または酸化し無臭化する方法
例・・・ヒノキ、緑茶、10円玉、多くの置き型消臭剤
2 物理的吸着法
臭いの分子を多孔質素材の孔に吸着させる方法
例・・・炭、珪藻土、ゼオライト
3 マスキング法
臭いの成分を良い香りの液で包み込んで床などに落とす方法
例・・・多くの消臭スプレー
4 微生物法
微生物が腐敗細菌を分解する、もしくは酵素が臭いの成分を分解する方法
例・・・乳酸菌、納豆菌、酵母
この中でダンゴムシの嫌う香りを出さず安全に消臭できる方法としては、物理的吸着法の他には微生物法だけです。
オススメは『乳酸菌・納豆菌・酵母』
乳酸菌を筆頭とするこれらの菌は人間の体に良い作用を及ぼすことから“善玉菌”と呼ばれ、腸内の“悪玉菌”を分解してくれることがよく知られていますよね。
これらの菌は「バイオ」とも言われ腐敗細菌を分解するため消臭に利用されます。
乳酸菌・納豆菌・酵母は地球上のあらゆる場所に居て土の中にも存在するため、様々なペットにとって安全性の高い消臭法と言えます。
界面活性剤や香料などが含まれていない100%バイオのみの商品を選ぶようにしましょう。ペット用が飲んでも大丈夫と明記してあればなお安心ですね。
オススメはこちらです。↓
でもちょっと待って。
ダンゴムシは「微生物が分解した枯葉」およびそれらを微生物ごと食べることで消化吸収を助けてもらっています。
もしかしたらダンゴムシの好きな微生物まで殺してしまうことも・・・?
微生物と密接に関わって生きているダンゴムシとは相性が悪い可能性もあります。
そこで、この商品を本格的に使用する前に、ダンゴムシが大好きな「カビのついたカツラの枯葉」をちぎり、一片はそのまま与えます。もう一片にこの商品をかけて様子を見ることにしました。
分かりにくい写真になってしまいましたが、設置してすぐに両方の枯葉にダンゴムシが来て枯葉を食べています。
左の何もしていない方の枯葉はムシャムシャといつものように食べられていました。
そして右のバイオ消臭液をかけた方の枯葉ですがバイオが付いて濡れた前脚をペロペロ舐めていたり、食べるだけでなく静かに舐めているような動作も見られました。
私が観察していた時この写真の黒いダンゴムシは長い時間バイオ付き枯葉の上に滞在していて、少なくともバイオ消臭液はダンゴムシが嫌がるものでは無いことが分かりました。
なんと、翌日の朝には両方の枯葉が影も形も無く食べられていました。
そんなに早く食べられないだろうと思っていたので途中経過は記録できませんでしたが、枯葉にバイオ消臭液をかけてダンゴムシの食欲が減ることは無いと分かりました。
今回購入した「きえ〜る」の商品説明には「ペットの飲水、又は餌に本品を与えることで便臭を減らすことが可能です」とあります。
確かに、バイオがダンゴムシの消化管内の腐敗細菌を減らしバイオがそのまま糞に混ざって出てくることによって糞の腐敗も遅らせることができそうです。
また、同じくきえ〜るの商品説明に「昆虫マットの消臭には直接スプレーしてください」とも書かれています。
今後使っていきダンゴムシの体調に異変が無ければ、飼育環境を作る際に土にバイオ消臭液を混ぜるのも良いかもしれませんね。
届いてからしばらくは様子を見ていましたが、大丈夫そうなので今では毎日きえ〜るを水苔にシュッと一吹きしています。
ダンゴムシの体調には全く異変はありません。
ナメクジの加水にも使っていますが異変はありません。
悪臭はまあまあ消えたかな〜と思います。
いかがでしたでしょうか。ご参考になれば幸いです♪
【参考記事】
森林・林業学習館『森林の精気「フィトンチッド」のさまざまな効果』
https://www.shinrin-ringyou.com/mokuzai_jyu/phyton.php
ヤシガラ活性炭ー株式会社エレクトロンチャージャー研究所ー『活性炭の実験2』
https://eclab.co.jp/activecarbon/test2/
株式会社エム・イー・ティー『データ資料』
https://www.met-inc.co.jp/data.html
鈴木産業株式会社『「豊シリカ」稚内珪藻頁岩粉砕物製品ー調湿・消臭材機能素材についてー』
http://www.wakkanai-diatom-shale.co.jp/silica-v2.pdf
DUSKIN『空気の3大お悩み - ニオイ(悪臭)』
https://biz.duskin.jp/biz/sanitation/spacehygiene/topics/topics01/
フィトンチッドメディア『お部屋のにおいは大丈夫?お部屋のにおいを消すための4つの消臭方法』
https://phytoncide.media/clear-odor/