4月上旬。ワラジムシを採集したくて公園に行って積もった落ち葉の下を探していたら、謎の卵を見つけました。
卵は潰れているのも含めて10個ほどあったと思います。全て持ち帰るのは悪いので5個ほど持ち帰ることに。
周囲の土ごと持ち帰り、フタに細かい穴を空けたタッパーに入れ、湿度を保てるように水苔も入れました。
1日1回、空気の入れ替えがてらタッパーを開けて水苔の湿り気をチェックします。
最初はカタツムリだと良いなぁと思って拾ってきましたが、拾ってから1週間後、孵化する直前には薄くナメクジが透けて見えました。
個人的にカタツムリの方が好きなことには変わりはありませんが、観察しているとナメクジもなかなか可愛いものです。
食事の仕方が独特で、大きい物を食べようとする時に目を引っ込めています。
よーく見ると背中にしこりのような物が見え、恐らくですがチャコウラナメクジの仲間ではないかと思います。
ナメクジはカタツムリと同じく陸貝と呼ばれる陸生の貝類です。かつてはカタツムリのように殻を持っていましたが退化して殻の無い今の姿になりました。
そのため、背中にしこり(甲羅)を持つチャコウラナメクジのように殻の名残を持っているナメクジがいます。
チャコウラナメクジは生命力が強く市街地にもいる最も身近なナメクジで、ヨーロッパ原産の外来種です。
よく似たニヨリチャコウラナメクジというナメクジも侵入し定着しているらしく、区別は難しそうなのでこの子たちのことはチャコウラナメクジ“の仲間”と思っておきます。
産卵は11月〜4月で一度に300ほどの卵を産むそうです(孵化するのは100個ほど)。この時に生まれたナメクジが育って梅雨の時期にパーティーを開く仕組みになっています。
カタツムリもナメクジも動きが遅いため何を考えているのか分かりづらい生物ですが、観察していると光を避けて陰に逃げたり餌に寄ってきて食べたりしているのが分かり、遅くともはっきり意思があるのだなと思います。
というかナメクジについて調べると、何を考えているのか分かりづらいどころか知能が高いらしい。
ダンゴムシと同様に、ナメクジにも記憶力と洞察力があるらしいです。
これから観察していくのが楽しみです。
ところで、野生のナメクジは広東住血線虫という危険な寄生虫を保有している可能性があります。このナメクジたちも危険なのかな?と調べてみたのですが、ナメクジは「中間宿主」であり「広東住血線虫を保有したネズミが出した糞」を食べることで広東住血線虫を保有する仕組みになっているそうです。
広東住血線虫で画像検索するとすぐ分かりやすい関係図が出てきます。
さらに、ネズミの糞に混じった線虫はそこで長く生きることはできず、早めに中間宿主に食べられなければ死んでしまいます。
家で卵から孵化させたナメクジであれば、その後自然の土に触れさせなければ広東住血線虫を保有している可能性は無いようです。
ですが、ナメクジに限らず生物に触ったら手洗いや机の消毒は必ずしています。
【参考文献】
脇 司 『カタツムリ・ナメクジの愛し方 日本の陸貝図鑑』
【参考記事】
山口県ホームページ『ナメクジの生態』https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/61955.pdf
高校生新聞オンライン『ナメクジは成長すると賢くなる 高校生が実験で突き止めた記憶力と洞察力』
https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/9321
愛知県衛生研究所『広東住血線虫』
https://www.pref.aichi.jp/eiseiken/5f/kanton.html