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カタツムリ(ナメクジ)の餌・必要な栄養素について真剣に考えてみた

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最近、カタツムリ(とナメクジ)を飼い始めました。

とりあえずダンゴムシに普段与えている餌をそのまま流用して与えています。

今のところ元気そうですが、カタツムリ用に栄養を考えている訳では無いので本当にこのままで良いのかと心配になってきました。

 

カタツムリは雑食なので何でもバランス良く与えるのが良いことは前提ですが、その上で「特に必要な栄養素・食べさせたい食品」について真剣に考えてみることにしました。

話半分でご参考にしていただければ幸いです。

カタツムリの殻を作る栄養素は?

カタツムリの最も特徴的な体のパーツ、殻。

この殻は主にアラゴナイトと呼ばれる炭酸カルシウムの結晶でできています。

 

カタツムリの殻はヤドカリのように借りている物では無く、殻の中には内臓が入っていて体の一部です。

カタツムリの殻は、殻の口の部分に継ぎ足していくことで成長と共に大きくなります。

そのため成長途中の個体には特に殻の元となるカルシウムを摂取させることが大切です。

ナメクジであっても、チャコウラナメクジ類のように体の中に甲羅を持っている種類は成長とともに甲羅も大きくするためカルシウム摂取は大切です。

 

カタツムリに最適なカルシウム源は?

炭酸カルシウム摂取に『カトルボーン』

拾ったカタツムリを飼育ケース内に入れたら、他の餌を無視してカトルボーンの方に行き長時間カトルボーンを食べていました。

カトルボーンは触ると粉が指に付くくらいなのでカタツムリのあまり頑丈そうでない歯でも削り取って食べられるでしょう。

1mmほどの赤ちゃんカタツムリもカトルボーンの上に乗っかって食べている様子が見られます。

 

丸ごと塊になっている物は小さなケース内には置きづらいですし重さがあるのでカタツムリが下敷きになる危険性があります。

そのため、細かい欠片になっている商品がオススメです。

 

ちなみに卵の殻も一応置きっぱなしにして与えていますが、硬いのか好んで食べている様子は見られません。

 

カトルボーンのオススメはこちら↓

 

乳酸カルシウム摂取に『マルベリーカルシウム』

カトルボーンは炭酸カルシウムですが、炭酸カルシウムは吸収率が低いのが欠点です。

常時置いておけるカトルボーンはあると安心ですが、それだけにカルシウム補給を頼ってしまうと吸収効率の悪さから過剰に摂取してしまい疾患に繋がる可能性も無いとは言えません。

 

より効率良くカルシウムを摂取させるためには吸収率の高い「乳酸カルシウム」のパウダーがオススメです。

パウダー状はカタツムリも食べやすいです。

過剰摂取を避けるため、餌には混ぜこまないで単体で置いておくと良いでしょう。

私は乳酸カルシウムのパウダーを食べやすいように湿らせてからカトルボーンの上に塗りつけるようにして置いています。

 

乳酸カルシウムのオススメはこちら↓

 

カルシウムと一緒に摂取したい栄養素は?

また、炭酸カルシウムは他の栄養素と一緒に摂取することで吸収率が上がります。

炭酸カルシウムの吸収率を上げる食品・カルシウムの吸収を阻害する食品・疾患のリスクを高める食品について、こちらの記事で詳しく紹介しています。↓

dangomushijouhou.hatenablog.com

 

また、カルシウムの過剰摂取によって逆に鉄・銅・亜鉛などの吸収が阻害されてしまいます。

鉄が摂取できるオススメの食品はホタテです。

ホタテは鉄分が豊富に含まれているだけでなく肝機能の回復を助けるタウリンが含まれています。

カタツムリはタンパク質をたくさん摂取する必要があるため、肝臓が疲れがちです。

カタツムリを長生きさせるにはタウリンも必要な栄養素かと思います。

フリーズドライのホタテなら毎日与えるのも簡単です。

 

ホタテのオススメはこちら↓

 

銅・亜鉛が摂取できるオススメの食品はパプリカ粉です。

 

カタツムリの血液は薄い青色をしています。

人間は鉄からできるヘモグロビンによって酸素を運んでいますが、カタツムリはヘモシアニンという銅からできる物質で酸素を運んでいるためです。

 

そのため、パプリカ粉は人間で言うところの貧血予防のレバーみたいな役割ですね。

摂取させることをオススメします。

 

スーパーでも店によってはS&BやGABANのパプリカ粉が置いてありますが、見つからなければこちらがオススメです。↓

 

カルシウム関連については以上です。

 

次にカタツムリの体の特徴的な部分と言ったら、ネバネバ粘液ですよね。

カタツムリの粘液を作る栄養素は?

カタツムリには皮膚が無いため、常に「エピフラム」と呼ばれる粘液を出して体の表面を守っています。

このエピフラムのおかげでカタツムリは痛そうなコンクリートの壁を這えます。

それどころか、なんと剣山の上でも刃物の上でも這うことができます。

 

エピフラムを人間用に加工した物はスキンケア製品の成分として人気があり、傷口を修復する効果や抗菌性、抗真菌性もあることが研究により分かっているそうです。

 

こんなにすごいエピフラムは一体何でできているのでしょうか?

 

エピフラムは主に「ムチン」という成分でできています。

また、ビタミンA、ビタミンEも豊富に含まれているそうです。

 

ムチンは動物由来の高分子糖タンパク質で動物の粘液・唾液・涙などに含まれます。

特にムチンを意識した餌を与えなくてもうちのカタツムリたちは普通に粘液を出して生きているのでムチンは体内で合成できるのでしょうが、年齢を重ねると必要な成分の合成力は衰えるものです。

老齢のカタツムリが長生きするためには意識してムチンそのものやムチンの元になる成分をたくさん摂取させると良いのではないかと思います。

 

ムチンが含まれる食品とは?

ムチンが含まれる食品はウナギ、クラゲ、鯉、燕の巣、ドジョウなどです。

*1

ですが、市販のウナギやクラゲは味の付いた加工品ばかりですし、ツバメの巣はとても高価。

なかなか与えるのは難しい食品ばかりですね・・・。

 

ムチンを作り出す食品は?

じゃあ、ムチンは主に何でできているのでしょうか?

ムチンは主にスレオニン(トレオニン)、セリン、プロリンなどの成分を含んでいます。

これらはタンパク質を構成する20種類のアミノ酸の一つです。

 

スレオニンを多く含む食品・・・卵白、大豆製品

セリンを多く含む食品・・・卵白、大豆製品、ゼラチン

プロリンを多く含む食品・・・ゼラチン、大豆製品

*2

要はタンパク質を多く含む食品ですね。

ムチンは無理でも、これらなら簡単に与えられそうです。

 

粘液だけでなく、カタツムリの体自体も水分以外はほとんどがタンパク質でできています。(貝類やサイゼリヤのエスカルゴと同じですね。)

そのため、カタツムリの体を作るためにタンパク質摂取はとても大切です。

 

タンパク質摂取に『卵』

卵にはしっかり火を通しましょう。

白身だけでなく黄身も与えればビタミンA・ビタミンEも摂取できるためもっと良いですね。

 

ゆで卵の食べっぷりは良いですが、卵は傷みやすくカビも生えやすいのが難点。与えるなら数時間以内に回収しましょう。

少量のゆで卵を一日置いただけで飼育ケース中がカビでフワフワになっていたことがあります・・・。カタツムリごめん。

 

卵を食べた後の卵入りの糞にもカビが生えやすいので、その後のお掃除はしっかりしましょう。

 

不思議と乾燥卵白は与えてもカビだらけになることは無いです。↓

 

タンパク質摂取に『ゼリー』

ゼラチンといえば昆虫ゼリーなどのペット用ゼリーが思い浮かびます。

ペット用ゼリーはたまには良いと思いますが糖分が多そうなので日常的に与えるのはあまり良くないと思います。

 

余裕があればスーパーで売ってるお菓子作り用のゼラチンからカタツムリ専用ゼリーを手作りしてみるのも良いかもしれません。

ゼラチンは水分を吸う性質があります。もしカタツムリに粉のまま与えると体内の水分を吸い吸着し、気道や消化管を塞ぐ危険性がありますのでお気をつけください。

 

タンパク質摂取に『大豆製品』

乾燥した高野豆腐のような物はカタツムリには硬くて食べづらいでしょうし体内の水分を奪います。

それよりは豆腐や、柔らかく戻した高野豆腐、湿らせたきな粉などが食べやすいと思います。

黒胡麻やアーモンドが混ざっている商品もありますが、脂質が高いため普通のきな粉(砂糖無し)がオススメです。

 

ちなみに、三重エスカルゴ開発研究所のエスカルゴ牧場のエスカルゴたちは主に粉末状の国産大豆を食事にしているそうです。

プロも大豆製品でカタツムリを育てているなら安心ですね。

 

タンパク質と一緒に摂取させたい栄養素は?

ただし、これらのタンパク質豊富な食品を摂取しすぎると悪い影響も出る可能性があります。

タンパク質を摂取しすぎると消化に負担がかかり、未消化のタンパク質が悪玉菌の餌になり腸内環境を悪化させる可能性があります。

 

タンパク質と一緒に悪玉菌をやっつける乳酸菌・納豆菌・酵母や、排便を助ける食物繊維を摂取させましょう。

 

善玉菌摂取にオススメなのはこちらです。↓

 

 

餌では無いですが、飼育ケースの加水にこのきえ〜るを使うと消臭効果があるだけでなく、きえ〜るに含まれる乳酸菌・納豆菌・酵母をペットが飲むことによって糞の臭いも軽減することができます。

実際にペットの飲水や餌に混ぜることも使用方法の一つとして紹介されていて、昆虫にも使えると書かれているため安心です。

虫の嫌がるハーブ系の匂いも無く無色無臭です。

 

日常的にカタツムリ・ダンゴムシケースの加水に使っていますがこれのせいで生物が死んだりストレスになっている様子は全くありません。

 

むしろ、飼育ケース内のカビが生えてしまった部分や不潔な場所にシュッシュとかけておくとカビの繁殖や臭いを抑えられるため、不潔さが原因でカタツムリが死ぬことを予防できていると思います。

 

飼育ケース内の環境悪化を遅らせられるため、頻繁なお掃除をしなくて済んでいます。

 

【関連記事】

dangomushijouhou.hatenablog.com

*3

 

 

食物繊維摂取には生野菜や青汁、海苔、時々果物などを与えましょう。

・野菜は特にニンジンに目が無いようです。

・ピーマンなど苦いものは嫌っているような気がします。

・果物は果糖の摂りすぎに注意。

・茹でた野菜はカビが生えやすい。*4

・青汁は苦味が少なく添加物の入っていない物を選びましょう。

私も飲んでるオススメの青汁はこちら↓

 

また、タンパク質の摂取しすぎは肝臓と腎臓*5の負担にもなります。

前述しましたが、ホタテに多く含まれるタウリンは肝機能の回復を助けます。

ペット用のフリーズドライのホタテは与えやすいのでオススメです。

 

また、昆布、わかめ、切り干し大根、あおさはカリウムの含有量が多すぎるので腎臓の負担を増やします。念のため与えないようにすると安心です。

 

 

いかがでしたでしょうか。

今回はカタツムリの特徴的な殻と粘液から、摂取させたい栄養素と疾患のリスクを下げる栄養素をご紹介しました。

ご参考になれば幸いです♪

 

【関連動画】

撮影機材:M.ZUIKO 60mm +OM-5

 

【参考記事】

公益社団法人日本化学会『血液の話:血液の色』

https://www.csj.jp/chemclub/backissues/200602/200602-2.pdf

ナショナル ジオグラフィック日本版

カタツムリの粘液にがんや細菌抑える効果、スキンケアだけでない | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト

公益財団法人 腸内細菌学会

ムチン(mucin)|用語集|腸内細菌学会

医療法人三渓会 川堀病院 栄養部 『ネバネバ食品』

https://www.kawahori-hosp.jp/docs/pdf/column_no3.pdf

朝日新聞Reライフ.net

たんぱく質の働きは? 不足・過剰によるリスクや摂取の基本知識も紹介

くすりの健康日本堂

カリウムが多い食べ物・食品ランキング TOP100|くすりの健康日本堂

 

【参考サイト】

文部科学省 食品成分データベース

食品成分ランキング

 

【参考動画】

動物奇想天外/WAKUWAKU

【トリビア】カタツムリは刃物の上でも歩けるし、カラフルなウンチもする【どうぶつ奇想天外/WAKUWAKU】 - YouTube

*1:ムチン=ネバネバでありオクラや納豆にも含まれるという誤った認識が広まっていますが、植物性食品のネバネバはムチンとは全くの別物です。

*2:乳製品はカタツムリは消化できないと思われるため除外しました。また、煮干しやビーフジャーキーなどカタツムリが食べにくい物も除外しています。また、かつお節はスレオニンを多く含みますがカルシウムの吸収を阻害するリンを多く含むため除外しました。また、タンパク質といえば鶏ササミですが、人間用に市販されているフレーク状のものは塩味がついています。かといって犬用の物を買っても余らせてしまいます。与えづらさから今回は除外しました。

*3:安全性の高い商品であるとは思いますが、あくまで自己責任での使用をお願いいたします。きえ〜るの使用により生体に起こった影響の一切の責任を負いかねます。また、使用の際は商品説明をよくご確認ください。

*4:先日、茹でブロッコリーを与えたら次の日にはピンク色になってました。カタツムリケース内のカビの生えやすさを舐めてました。一緒に置いていた他の餌にもピンクが波及していて、全体的にダメになっていました。これでは流石に食べられなかったのか、餌を取り替えてあげたら1匹の個体がすぐに餌に寄ってきました。ごめんごめん。

*5:カタツムリってそもそも肝臓や腎臓あるのか・・・?と思って調べたら、きちんと臓器が揃ってました。カタツムリのことを馬鹿にしすぎていました。